2024年6月号

2024年6月号

安全!安心!箱型未来通信

2024年6月号

Jun-2024
vol.48
 
箱型擁壁は耐震性・排水性・安全性・環境性・施工性・経済性に優れた工法として、各地で箱型擁壁工法が採用されています。さらに、急速施工が容易で災害復旧にも最適な工法として全国で3004件の採用実績を積み重ねています。
箱型未来通信では、全国の箱型擁壁の施工事例、採用事例を毎回ご紹介しています。
 
施工事例1 福島県 地震で被災した擁壁を再利用した事例 造成工事

ご採用頂いたポイント: 製品再利用
2021年2月の福島県沖地震により被災が発見され、役場の担当者より現地確認の依頼を受けました。
地盤沈下により、製品の欠け・目地開き・中詰め砕石の流出等が確認されたため、現状のままでは問題があるとの判断に至りました。さっそく擁壁の再構築に向けて対応を協議し再利用を含めた原型復旧で災害査定を受けました。箱型擁壁は、端部以外はコンクリートを使用しておらず、容易に撤去する事が出来る構造であるので、撤去後の製品調査により約2/3の再利用が可能でした。
本件は「災害を受けた擁壁の再利用の可能性を印象付けた」事例であり、他構造では実現しがたい事例ではないかと思います。
箱型擁壁は、出来る限り再利用をする事でコストを抑え、迅速な原型復旧を可能にする擁壁であると”おすすめ出来る”工法です。


「この擁壁は、東日本大震災以前に施工済みのMタイプ箱型擁壁です。」
発注者 : 相馬郡 新地町役場
工事名 : 愛宕団地擁壁等災害復旧工事
現場住所: 福島県相馬郡新地町
竣工時期: 2022年1月
施工規模: 壁高:4.0m 延長:17.0m
施工面積: 56.0 ㎡
設計のポイント 原型復旧の為、再利用が可能かどうかがポイントになった。
施工のポイント 撤去時、すべての製品を再利用が可能な物であるか?新品交換か?の確認を役所及びコンクリート診断士の立会の元選別を行った。
[ 設計条件] C=0.0KN/㎡・Φ=30.0° γ=19KN/㎡ 勾配・形状: 切土・勾配1:0.5 直線形状

 
施工事例2 北海道 生コン工場から1時間掛かる山奥 災害復旧

ご採用頂いたポイント: 工期短縮
豪雨災害で橋台周りの土が流出し交通不能になった現場でした。復旧計画では、早期復旧を要する現場で護岸構造にはコンクリートが必要でしたが、現場が山奥で生コン工場が遠方で在る為、生コンを最小限にしたい計画から箱型擁壁の採用になりました。また、間詰め砕石の流出を防止する為、水が付く下段部の箱型はシールコン仕様としました。現場施工では、山間部でもあり、50㎝相当の玉石がゴロゴロあり、基礎施工は大変だったようです。施工が終わった感想ですが、上流側に洗堀防止として伸ばした箱型擁壁ですが、もう一段積んだ方が良かったのでは?と感じました。
発注者 : 北海道森林管理局
工事名 : 日の出林道改良工事
現場住所: 北海道斜里町日の出
竣工時期: 2021年6月
施工規模: 壁高:3.0~5.0m 延長:74.0m
施工面積: 161.0 ㎡
設計のポイント 箱型擁壁の設計の際の水位の取り扱いに苦悩しました。間詰め材の流出も考慮しシールコン仕様としました。
施工のポイント 施工現場が山奥で在る為、生コン工場から遠方で在り且つ生コン打設時間にも制限があります。
よって複雑な構造体での現場打は避けたい事と、早期復旧・施工ピードが要求されたため箱型擁壁の採用となりました。
[ 設計条件] C=0.0KN/㎡・Φ=30.0° γ=19KN/㎡ 勾配・形状: 切土・勾配 1:0.3

 
施工事例3 山形県 生コンを使わない・ブロックの積みやすさが好評価 道路改良

本件は山形市と白鷹町を結ぶ山間部を通る県道の道路改良工事(道路拡幅)の擁壁箇所へ箱型擁壁を採用していただき、初段工事が発注され施工した現場で、擁壁前面の道路幅員も狭く片側交互通行で車を通しながらの施工となりました。
現場での資材置き場も制限され、施工に合わせてタイムリーな納品となりましが遅れや事故無く無事納品することが出来ました。
工事業者の現場担当者様からは、基本的には生コンを使わない点とブロックも積みやすく施工性が良い為、予定通り工期内に施工が完了したと好評を頂きました。
発注者 : 山形県村山総合支庁道路課
工事名 : 令和3年度主要地方道山形
白鷹線道路改良工事
現場住所: 山形市門田地内
竣工時期: 2022年6月
施工規模: 壁高:7.5m 延長:34.0m
施工面積: 255.0 ㎡
設計のポイント 道路視距改良で検討、設計による制約が3つ ①(山形県県民の森)へ観光バスを通すので片側交互通行が可能な掘削勾 ②山形県の重要搬送路となっており全面通行止めはできない ③大型ブロック、ラップブロックと比較したが、過去実績、掘削量と地盤改良で箱型擁壁が安価となった。
施工のポイント 基礎底面下の地盤強度が支持力不足であった為、基礎工法としてトップベース工法(コマ型基礎)が採用されました。その為、通常のかごテンサー基礎を使用せずに、コンクリート基礎として、アンカー鉄筋を設置し最下段の箱体と一体化となる様施工しました。
[ 設計条件] C=10.0KN/㎡・Φ=25.0° γ=19KN/㎡ 勾配・形状: 切土・勾配 1:0.5

 
施工事例4 岩手県 観光地の景観を考慮して箱型擁壁を採用 擁壁工事

既設は重力式擁壁で、老朽化が進み、この擁壁を改修する工事でした。
現場の上には神社があり、石川啄木が学生時代によく訪れ読書を行った場所として、また、大きな岩の割れ目より梅が生えている石割梅などがあり、多くの人が訪れる場所でもあります。
観光地にふさわしい景観性の確保として、城跡の石垣からインスパイアされた景観が好印象だった点も採用の一因となりました。
現場は狭隘な住宅街の中でしたが、大型重機の制限や通行規制の延長が不可能で、生コン打設が最小限にできることも評価され採用に至りました。また、曲線施工箇所もあり、柔軟に対応できる点も高評価をいただきました。
発注者 : 岩手県 盛岡市役所
工事名 : 市道本町通一丁目新庄町
2号線法面補修工事
現場住所: 岩手県盛岡市新庄町地内
竣工時期: 2022年5月
施工規模: 壁高:3.5~8.0m 延長:74.0m
施工面積: 531 ㎡
設計のポイント 地山掘削を抑えられる点や曲線対応、現場打部分を少なくできる点などから採用されました。
施工のポイント 現地の地形が複雑で曲線部分も多かったが、フレキシブルな構造で柔軟に対応できました。
[ 設計条件] C=10.0KN/㎡・Φ=30.0° γ=17KN/㎡ 勾配・形状: 切土・勾配 1:0.5

 
施工事例5 秋田県 既設の箱型擁壁に新しい製品を追加工事 造成工事

十数年前に納入した物件の追加工事でした。
当時の設計資料やデータの詳細が残っておらず、設計条件の確認に時間がかかりました。実際の施工では小人数で施工性が良かった為、予定より早く施工を完了することが出来ました。発注者・コンサルタント・施工者からも評判が良かったです。色合いは新旧で大きく違いますが、長い時間が経過しても問題なく機能している箱型擁壁は素晴らしい製品だと感じました。
発注者 : 独立行政法人
高齢障害求職者雇用支援機構
工事名 : 秋田県職業能力開発短期大学校
現場住所: 秋田県大館市
竣工時期: 2020年9月
施工規模: 壁高:7.0m 延長24.0m
施工面積: 161.0 ㎡
設計のポイント 十数年前、箱型擁壁を納品し、その続きを同じ製品で施工する事になった為です。
施工のポイント 前回の続きの為、昔の設計条件とのすり合わせを慎重に行いました。
[ 設計条件] C=3.0KN/㎡・Φ=30.0° γ=19KN/㎡ 勾配・形状: 切土