2020年 7月号
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Jul-2020 |
vol.35 |
箱型擁壁は耐震性・排水性・安全性・環境性・施工性・経済性に優れた工法として、各地で箱型擁壁工法が採用されています。耐震性に優れ急速施工が容易で災害復旧にも最適な工法として全国で2788件の採用実績があります。箱型未来通信では、全国の箱型擁壁の採用事例をご紹介しています。 |
施工事例1 |
石川県 |
河川改修の輪中堤外周整備で、重要文化財保護に一役、箱型擁壁! |
輪中・分水路 |
ご採用頂いたポイント: 全国的でも珍しい分水路方式で小松天満宮を輪中提化する工事に景観・構造に優れる箱型擁壁が採用
石川県小松市を流れる梯川は氾濫の多い川であり、付近の住民を悩ませてきました。河川改修を行うにあたり、隣接する小松天満宮の移転を検討しなければなりませんでした。
しかし、国の重要文化財であり小松市の歴史文化のシンボルである小松天満宮を移転する事に地元の方からの反対の声が挙がった為、全国的にも珍しい分水路方式が採用され 小松天満宮を輪中提化する工事に景観・構造に優れる箱型擁壁が採用となりました。
発注者 : |
国土交通省北陸地方整備局
金沢河川国道事務所様 |
工事名 : |
梯川天神輪中提工事(小松天満宮) |
現場住所: |
石川県小松市 |
竣工時期: |
2017年11月 |
施工規模: |
壁高:5m 延長:460m |
施工面積: |
2500㎡ |
設計のポイント |
当初、景観を優先し石積で計画されていましたが、重要文化財を守るには構造上不安がありました。ブロック等を用いると人工的なものとなってしまう、そこで平面形状が楕円形状に対応可能で、自然的な曲線美、造形美を演出でき、且つ安定構造物と証明が可能な箱形擁壁が採用されました。 |
施工のポイント |
3工区(3業者)に分かれて発注となったのですが、楕円形に擁壁を施工していく工事だった為、延長区間の調整に苦労しました。施工業者様の工夫もあり上手く収めることができました。 |
[ 設計条件] |
Φ=30kN、c=10KN、γ=19KN |
勾配・形状: |
5% 盛土・直線・曲線混在 |
施工事例2 |
福井県 |
敦賀の玄関口を彩る箱型擁壁 |
造成工事 |
ご採用頂いたポイント: 壁高が9.0mで、耐震性を有し、経済性に優れた擁壁、満足するのは箱型擁壁
施工現場である福井県敦賀市は、北陸自動車道、舞鶴若狭自動車道が整備され、鉄路においてはJR北陸線・湖西線が走り、中京圏・関西圏へのアクセスが良好な立地にあります。そこに計画されました『敦賀市第2産業団地』の造成工事の盛土部擁壁として箱型擁壁が採用されました。福井中心部から国道8号線を南下し海沿いを走り抜け、敦賀市の中心部へ向かう玄関口にあたるところに箱型擁壁が施工されております。交通量も多く、頻繁に人目に触れる場所である為、景観性に優れていることも採用のポイントとなりました。2023年春には北陸新幹線が敦賀まで延伸され、首都圏へのアクセスも容易になるため、この地が敦賀市のさらなる産業拠点となることが期待されております。
発注者 : |
福井県敦賀市役所 様 |
工事名 : |
敦賀市2産業団地整備事業
分譲地A造成工事 |
現場住所: |
福井県敦賀市田結 |
竣工時期: |
2018年3月 |
施工規模: |
壁高:1~8m 延長:437m |
施工面積: |
2560㎡ |
設計のポイント |
産業団地の造成に伴う盛土部擁壁の計画でした。壁高が9.0m必要であるため、高い耐震性(大規模地震動対応)を有し、経済性にも優れた擁壁が必要になり、この条件を満足するのが箱型擁壁であると考え提案したところ、採用に至りました。 |
施工のポイント |
施工現場は広い敷地だったので、製品搬入もスムーズに行えた。また当該現場は折れ点、曲線(内カーブ、外カーブ)等が多い現場だったが、極力現場打ち箇所を少なくし、見栄え重視で綺麗な曲線施工が出来ました。 |
[ 設計条件] |
Φ=30、c=15、γ=19 |
勾配・形状: |
5分・盛り土、直線・曲線混在 |
施工事例3 |
新潟県 |
糸魚川大規模火災の復興まちづくりに貢献した箱型擁壁 |
道路改良 |
ご採用頂いたポイント: ブロック積みで施工の場合、隅部の現場打ちコンクリートが必要となる、箱型擁壁は不要となる点を評価された。
糸魚川大火は新潟県糸魚川市において2016年(平成28年)12月22日昼前から鎮火まで翌日の夕方迄約30時間続いた大火災でした。道路幅も狭く消防車の進入不能や消火用水の不足と折柄の南風により糸魚川駅前から北側約4万㎡を焼失しました。その中には昭和初期に建造された雁木造りの商店街や木造住宅等の密集地域も含まれております。終息後、災害救助法が適用され2017年8月「糸魚川駅北復興まちづくり計画」を公表。同現場は市発注道路改良工事としてブロック積みで発注されました。しかし擁壁上は民地(現在は宅地と一部駐車場)であり出来るだけ用地を確保したいことと、業者様の要望により施工が冬季となりコンクリートを必要としない工法として、隅部も容易に施工可能の箱型擁壁で施工して頂きました。
発注者 : |
民間工事 |
工事名 : |
復都市第3号市道浜町北側線ほか道路改良工事 |
現場住所: |
新潟県糸魚川市 |
竣工時期: |
2018年1月 |
施工規模: |
壁高:2m 延長:84m |
施工面積: |
124㎡ |
設計のポイント |
ブロック積みで施工した場合、隅部は必ず現場打ちコンクリートが必要となりますがそれが不要となる箱型擁壁で提案して好評価を頂きました。 |
施工のポイント |
施工時、周辺の復興工事と重なり製品置場も狭く、その日の施工分を同朝出荷せざるをえない為対応には苦労しました。 |
[ 設計条件] |
Φ=35、c=0、γ=20 |
勾配・形状: |
1.0:0.7・切土、曲線形状 |
施工事例4 |
長野県 |
千曲川の洪水にも耐えて24年、再び使われた箱型擁壁 |
法面工事 |
ご採用頂いたポイント: 箱型擁壁が使用されてから24年、重要建造物を守り続けた実績を評価
平成7年に小海町役場と佐久医療センター小海分院の造成工事に箱型擁壁が使用されてから24年後の2019年、JA信州八ヶ岳の小海支所建設造成工事に再度採用されました。以前の箱型擁壁の表面は経年劣化で黒ずんでいますが、千曲川沿いにある需要な施設を守り続けています。擁壁上は取り付け道路で法面の高さに合わせて箱型擁壁の積み上げ段数を調整した形状ですが、設計者の工夫でより経済的な段割になっています。2019年10月の台風19号の際には、想定外の増水で新旧の箱型擁壁が下段部まで浸水しましたが、壁体の変異は認められませんでした。
発注者 : |
JA長野八ヶ岳 様 |
工事名 : |
JA長野八ヶ岳小海支所新築工事 |
現場住所: |
長野県南佐久郡小海町 |
竣工時期: |
2019年6月 |
施工規模: |
壁高:6.0m 延長:45m |
施工面積: |
284㎡ |
設計のポイント |
積み上げ段数が変形しているように見えますが、箱型擁壁の上部が取り付け道で、左から右にスロープになっています。箱型擁壁上部の法面の高さが変わるため、より経済的な積み上げ段数に工夫しました。 |
施工のポイント |
千曲川に沿って箱型擁壁を盛土で構築しました。製品置場が狭く積み上げるタイミングに納入しないと工事の進捗に影響がでるため打ち合わせを密にして対応しました。 |
[ 設計条件] |
Φ=37°、c=0KN、γ=20.5KN |
勾配・形状: |
5分・切土、直線 |
施工事例5 |
長野県 |
早期の竣工が可能、急速施工が出来る箱型擁壁 |
法面工事 |
ご採用頂いたポイント: 法面の崩落をいち早く復旧する必要から工期短縮ができる箱型擁壁を採用。
現在建設中のリニア中央新幹線のトンネルから排出される残土を運搬するためのバイパス工事建設が進められています。トンネル入口で小渋ダムに架かる橋の側面の法面が崩れ、早期復旧のため箱型擁壁が使われました。ダム上流に架かる橋のため、施工が早く高く積める擁壁とのご希望で採用されました。施工場所は幅が狭く高く、施工スペースが無いという悪条件でしたが、無事復旧することができました。箱型擁壁の特徴を活かし、山間部の工事でも順調に施工をすすめることが出来ました。
発注者 : |
天竜川ダム総合管理事務所 様 |
工事名 : |
平成28年度小渋ダム
土砂パイパス法面処理工事 |
現場住所: |
長野県下伊那郡大鹿村涌谷地先 |
竣工時期: |
2017年10月 |
施工規模: |
壁高:9.5m 延長:7m |
施工面積: |
51㎡ |
設計のポイント |
幅が狭く高い縦長の擁壁でした。側面の取り合いの設計に苦労しました。 |
施工のポイント |
短期間で復旧する必要があり、トンネル、橋という施工条件が良くない場所でしたが、レッカーを使い短時間で積み上げることができました。 |
[ 設計条件] |
Φ=41.7°、c=6.5KN、γ=20.61KN |
勾配・形状: |
5分・切土、直線形状 |